特許出願の費用を弁理士が解説!~特許権取得までの費用の総額 と内訳~

特許出願の費用を弁理士が解説!~特許権取得までの費用の総額 と内訳~

特許出願の費用は総額60万円!?ここでは、特許権取得までの費用の総額とその内訳を弁理士が徹底的に解説します。

特許出願から登録までの流れ

 特許出願の費用がいくらになるのかを把握するには、まず特許出願の流れを理解する必要があります。そこで、
 ここでは特許出願を弁理士にご依頼されてから、特許権を取得されるまでのおおまかな流れと共に、その流れの中で費用が発生するポイントを説明いたします。

 特許出願の流れについては、以下のイラストをご参照ください。

特許審査の流れ|特許庁ウェブサイト「初めてだったらここを読む~商標出願のいろは~」より
特許審査の流れ|特許庁ウェブサイト「初めてだったらここを読む~商標出願のいろは~」より

 上記のように手続が進む過程において費用が発生するポイントは上記イラストのピンク色の帯部分になります。「特許出願」「出願審査請求」「意見書・補正書」「登録料納付」の各ポイントにおいて費用が発生することになります。

《意見書・補正書について》

 特許庁は、実体審査の結果、出願された発明が特許(登録)を認めてよいと判断すれば特許査定を送付します。一方、特許を認めないと判断すれば、拒絶理由通知を送付します。
 拒絶理由通知は暫定的な審査結果であり、意見書や補正書という書類を適切に提出することにより審査結果が覆る場合があります。
 特許出願では、なるべく広い権利を取得するため拒絶理由通知を受け、審査官の出方を見て権利を形成していく過程を経ることが一般的です。

 ただし、上記イラストには特許出願を弁理士に依頼する場合の費用が掲載されていません。上記のイラストに掲載されている費用は特許庁に納付する手数料のみが掲載されているからです。
 つまり、特許出願の費用(総額)は大まかな計算式で示すと

 特許出願の費用(総額)=特許庁手数料+弁理士費用

となります。

 なお、特許出願の他に、実用新案登録出願や意匠登録出願や商標登録出願を弁理士に依頼される場合の費用についても、基本的に上記の計算式により導き出されることになります。

特許出願の費用の内訳

 上記を踏まえて特許出願の費用の内訳について表にまとめましたのでこちらをご覧ください。

拒絶理由通知を受けることなく特許査定を受けられた場合

ステージ特許庁手数料※1弁理士費用※2
特許出願出願手数料:14,000円300,237円 (出願書類作成費など)
出願審査請求審査請求料:138,000円+(請求項数×4,000円相談先の弁理士にお問合せください (審査請求手続費用)
登録料納付登録料:{4,300円+請求項数×300円}×3年分118,445円 (成功謝金)
【合計】189,400円※3418,682円
特許出願の費用|拒絶理由通知を受けることなく特許査定を受けられた場合

意見書・手続補正書を提出した場合

ステージ特許庁手数料※1弁理士費用※2
特許出願出願手数料:14,000円300,237円 (出願書類作成費など)
出願審査請求審査請求料:138,000円+(請求項数×4,000円相談先の弁理士にお問合せください (審査請求手続費用)
意見書・補正書130,041円 (意見書・補正書作成費)
登録料納付登録料:{4,300円+請求項数×300円}×3年分118,445円 (成功謝金)
【合計】189,400円※3548,723円
特許出願の費用|意見書・手続補正書を提出した場合

※1 特許法等改正により増減する場合があります。

※2 日本弁理士会ウェブサイト「弁理士の費用(報酬)アンケート(平成15年実施)」に基づく平均値です。(明細書15頁、請求項5項、図面5枚、要約書1枚の場合)

※3 請求項数を5項とした場合の特許庁手数料の総額です。産業財産権関係料金一覧|特許庁

《商標登録の費用や意匠登録の費用との違い》

 特許出願の場合、商標登録出願や意匠登録出願と異なり、審査を受けるために「出願審査請求」という手続が必要になります。
 この「出願審査請求」の費用として、特許庁に納付する手数料(出願審査請求料)が上記の通り基本料金だけで13万8,000円と、比較的高額に設定されています。

 一方で、所定の条件を満たす中小企業や個人であれば、この「出願審査請求料」の減額を受けることも可能です。詳しくは相談される弁理士にお問い合わせください。

特許出願の費用の総額

 以上から、特許出願の費用の総額は、請求項が5項の場合、下記の通りとなります。

特許庁手数料+弁理士費用(拒絶理由通知を受けることなく特許の場合)

 189,400円+418,682=608,082円(税別)※4

特許庁手数料+弁理士費用(意見書及び手続補正書を提出した場合)

 189,400円+548,723円=738,123円(税別)※5

 ※4 ※5 上記の合計額は日本弁理士会が公表している「弁理士の費用(報酬)アンケート(平成15年実施)」に基づいた参考金額です。料金の詳細につきましては特許出願をご相談される弁理士や特許事務所にお問合せください。

まとめ

 以上、特許出願の費用について網羅的に紹介しました。以下にポイントをまとめます。

  • 特許出願の費用は特許庁手数料と弁理士費用との合算で求められる。
  • 「特許出願」「出願審査請求」「意見書・補正書」「登録料納付」の4ステージのそれぞれにおいて特許出願の費用がかかる。
  • 特許出願から特許取得までの費用の合計金額は、拒絶理由通知を受けることなくストレートに特許査定が得られた場合、608,082円である。
  • 意見書及び手続補正書を提出した場合の合計金額は、738,123円である。

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