著作権と言えば、著作物を守るための権利という漠然としてイメージを持っている方が多いのではないでしょうか。著作権には種類があり、それぞれ守る対象が異なります。また、著作権の発生や保護期間についても覚えておきたいところでしょう。ここでは、著作権の基本的な内容と権利発生のタイミングについて詳しくご紹介します。
著作権とは
著作権とは、人の感情と思想を創作的に表した著作物を保護し、社会における文化の発展を促すための権利です。ここでいう「著作物」は、文芸・学術・美術又は音楽を指します。
対象となる著作物は、「言語」や「音楽」、「舞踊」、「絵画」、「非常に独創的で奇抜な建築物」、「思想や感情を表現した建築物の図面や図表」、「撮影の構図や編集における創作性がある動画」、「思想や感情を表す創作性がある写真」などです。
著作権の種類
著作者は、「著作者人格権」と「著作権」の2つの権利を持ちます。それぞれの性質について詳しくみていきましょう。
著作者人格権
著作者人格権とは、著作物に対する人格的な利益を保護する権利です。次の3つの権利が含まれます。
・公表権
著作物の公表の有無、公表の方法を決める権利です。
・氏名表示権
氏名の表示の有無、本名とペンネームの選択ができる権利です。
・同一性保持権
著作物のタイトルや内容を著作者の許可なく変えられない権利です。
著作権
著作権には、次のような権利が含まれます。
・複製権
著作物を複製する権利です。
・公衆送信権等
著作物を公衆送信する権利です。
・口述権
著作物を公に口で述べる権利です。
・展示権
著作物を公に展示する権利です。
・上演権、演奏権
公衆向けに著作物の上演と演奏を行う権利です。
・上映権
著作物を上映する権利です。
・頒布(はんぷ)権
映画の著作物をコピーして広く配る権利です。
・譲渡権
映画を除いた著作物やそのコピーを譲渡により公衆に提供する権利です。
・貸与権
映画を除いた著作物のコピーを貸与により公衆に提供する権利です。
・翻訳権、翻案権
著作物の翻訳や翻案を行って二次的著作物を作れる権利です。
・二次的著作物の利用に関する原著作者の権利
原著作者は、二次的著作物の著作者と同じ権利を持つことができます。
著作権の効果が現れるタイミング
著作権の効果が現れるタイミングは、著作物を創作した時点です。世間に公表していなくても、創作した時点で著作権が発生します。そのため、世間に公表する前に第三者が著作物の内容を盗み、創作したものを公表した場合には、著作権侵害となります。
著作権による著作物の保護期間
著作権による著作物の保護期間は、著作物の名義によって異なります。
実名・・・著作者が死亡した時点から70年
変名、無名・・・公表後70年(著作者の死後70年が経過したことが明らかな場合は死後70年)
団体・・・公表後70年(創作してから70年以内に公表されなかった場合は、創作してから70年)
映画・・・公表後70年(創作してから70年以内に公表されなかった場合は、創作してから70年)
なお、死亡・公表・創作した日の翌年の1月1日から保護期間が起算されます。場合によっては、1年近い誤差が生じるため、誤って著作権を侵害しないよう注意が必要です。
まとめ
著作権は、著作物を創作した時点で発生します。そのため、第三者が盗作して先に公表をしたとしても、先に創作していた証拠があれば著作権侵害で訴えることが可能です。著作権は、様々な権利が含まれていたり、名義によって保護期間が異なったりと、複雑な権利と言えます。著作権に関して不明点や疑問点がある場合は、知的財産の専門家である弁理士に相談しましょう。
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