他社が販売したり利用したりしている意匠と自分の意匠が類似している場合、意匠権の侵害となるかどうか慎重に見極めなければなりません。意匠権を取得している意匠を第三者が無断で販売したり利用したりすることは意匠権の侵害ですが、類似品においても同様です。今回は、他社と類似した意匠を見つけた際の意匠権の侵害について、誰がどの視点で見極めるのか詳しくご紹介します。
意匠とは?
意匠とは、物品等に施された模様や色、形などのデザインを指します。例えば、身の周りにあるコップやお皿、Tシャツ、コートなど物や衣類には必ずデザインがあります。デザインは、購買意欲をかき立てるために重要な要素のため、その物や衣類などを作る際にデザインを熟考しなければなりません。
そうして完成したデザインは、場合によっては意匠登録を行い、第三者が利用したり販売したりできなくすることが重要です。意匠登録しているにもかかわらず、第三者が類似品を販売したり利用したりしている場合は、意匠権の侵害にあたります。
意匠権の侵害が疑われても、根拠を示さなければ相手方に該当の意匠の販売や利用の中止を求めることはできません。
まずは弁理士に相談
他社と類似した意匠を発見した場合、意匠権の侵害にあたるかどうかは、第一には弁理士に相談し、判断を仰ぎます。これは、意匠が類似しているかどうか判断するためには、高い専門性が必要なためです。
事案ごとに、具体的な調査が必要となり、一見似ているようでも意匠権の侵害にあたらないケースもあります。自己判断で意匠権の侵害を訴えても、受け入れられない可能性があるため、必ず弁理士に相談しましょう。
弁理士によっては依頼前の無料相談を受け付けている場合もあり、気軽に意匠権の侵害における不明点を尋ねることも可能です。
誰の視点でみるか
意匠権の侵害にあたるかどうかは、その意匠の需要者と取引者の視点で判断します。需要者と取引者とは、その意匠が施された物を購入する消費者や、仲介や卸売りなどを行う事業者などを指します。
どう言う観点で見極めるのか
まずは、需要者と取引者がその意匠の購入を検討する際に行う観察方法によって、対象となる意匠の形や色などを認定します。続いて、意匠登録している意匠の用途や性質、独自性などを確認し、類似しているかどうか見極めるべき部分をピックアップします。
例えば、これまでにない斬新なデザインを施した衣類の場合、そのデザインが観察すべきポイントとなります。そして、類似品とされている物を入手し、よく観察したうえで、意匠登録している意匠との共通点と相違点を確認していきます。
観察すべきポイントとなる要部が顕著に異なる場合は、類似していないと判断されます。逆に、要部が顕著に共通しており、相違点が要部以外の部分にあり、なおかつ目ではわからないような違いであれば、類似品と考えられます。
知的財産やデザインの知識がない人物でも類似品かどうか見極められると思われがちですが、意匠権を侵害しているかどうかの見極めは非常に難しく、弁理士への依頼が必要不可欠です。自己判断で意匠権の侵害と考え、相手方を訴えても、十分な根拠を示せず、問題も解決しない可能性が高くなります。
まとめ
他社と類似した意匠がある場合は、意匠権の侵害にあたるかどうか判断し、然るべき対応をとることが大切です。意匠は、その物の価値を決定づける要素のため、類似品が出回ることは、その物の価値を下げることに繋がります。自社の利益を守るためにも、他社と類似した意匠を見つけた場合は、意匠権の侵害にあたるかどうか弁理士に相談することをおすすめします。
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