物品や画像のデザインを一定期間保護する意匠制度では、意匠権を取得するには、意匠登録出願が必要です。意匠権を取得できれば、第三者による模倣品の販売を含め、デザインに関する権利を独占できます。意匠登録の出願前に販売や新聞発表などを行うと、原則意匠登録できませんが、条件を満たせば意匠登録が可能です。
今回は、意匠登録出願の方法や、販売・新聞発表後でも意匠登録するための条件について詳しくご紹介します。
意匠登録とは?
意匠登録では、意匠権を取得する物品や画像のデザインを登録することになります。意匠登録が認められれば意匠権を取得でき、第三者は模倣したデザインを使用したり販売したりできなくなります。
身の周りの生活用品や衣類など全ての物にはデザインがあり、消費者の購買意欲をかき立てています。物の価値がデザインで決まる場合もあり、そのデザインを活かした商品を製造したり販売したりするときには、意匠権を取得しておくことが大切です。
登録方法
意匠権は、必ず取得できるとは限りません。特許庁へ出願し、複数の審査を通過して初めて意匠権を取得できます。意匠登録の流れは、次のとおりです。
- 意匠登録出願
意匠登録願を特許庁へ提出します。意匠登録願に所定事項の記載と、意匠権を取得したいデザインの図面の添付が必要です。
- 方式審査
意匠登録願の記載内容と、添付したデザインの図面に、主に形式的な問題点がないか審査されます。
- 実体審査
主に添付した図面に描かれているデザインがこれまでにない新しいデザインであるか、今までのデザインから簡単に考え出されたものでないのか、そういった実体的な要件を満たしているか審査されます。
- 拒絶理由通知
意匠登録の要件を満たしていない場合、拒絶理由通知書が送られてきます。具体的に、どの要件を満たしていないか記載されているため、意見書や補正書を提出します。それでも拒絶理由が解消されない場合は、出願が拒絶されて、拒絶査定謄本が送られてきます。また、その結果に不服がある場合は、拒絶査定不服審判の請求が可能です。
- 登録査定
実体審査を通過すれば、登録査定謄本が送られてきます。
- 設定登録
意匠登録の手数料を納付すれば、意匠権を取得できます。
- 意匠公報発行
一般に公開される意匠公報に、新たに取得した意匠権の内容が掲載されます。
意匠登録は、販売や新聞発表などの前に済ませる必要がありますが、条件を満たしている場合は、公開後1年以内に意匠登録を出願することで、意匠権を取得できる場合があります。
意匠登録が認められる期間と条件
意匠登録が認められる条件は次のとおりです。
・自らの意思に反してデザインを公開してしまった場合
詐欺や脅迫などにより、自らの意思に反してデザインが公開されてしまった場合を指します。
・自らの行為が原因でデザインを公開した場合
該当のデザインを施した商品を販売したり展示したりすることで、デザインを公開してしまった場合を指します。利益を目的としていなくても、学術発表や試験においてデザインを公開した場合も含まれます。
デザインを公開後に意匠登録する場合は、意匠登録願にその旨を記載するとともに、意匠登録願を特許庁へ提出した日から30日以内に証明書を提出しなければなりません。
まとめ
デザインの意匠登録は、原則公開前に行う必要がありますが、条件を満たせば公開後1年以内に意匠登録出願が可能です。
意匠権を取得しないでいると、デザインを模倣した商品が販売され、損害を受ける可能性があります。デザインは物の価値を決める重要な要素のため、必ず意匠登録しましょう。
意匠登録についてサポートを受けたい方は、知的財産の専門家である弁理士に相談してください。
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