概要
独自の発明(アイデア)から製品化し数々の賞を受賞した酒造メーカー「西堀酒造株式会社」-醸造に用いるのは木製又は金属製の樽が一般的であったところ、透明な樹脂製の容器を作るという発明をした会社です。

木製又は金属製の樽では、容器内を外部から観察できません。この観察ができれば、発酵工程を正確に把握することが可能となり、品質の向上と安定化を図ることができることとなります。しかし、ガラスは割れやすく、樹脂製はアルコールによって溶解すると考えられ、日本酒の醸造においては使用できない素材と認識されてきたという経緯がありました。
西堀酒造はこのような問題を解決できるようなアクリルを用いた容器「クリアタンク」を発明し特許を取得しました(特許第6523366号)。本記事では、西堀酒造の方々にインタビューした動画を記事にしました。
クリアタンク発明(開発)のキッカケ
このアイデアは開発者が、水族館に行った時に思い付いたものなのです。水族館の魚に魅了されている際に、魚が入った容器をよく見るとアクリル製だったことに基づき、酒の醸造用タンクに利用できないかと発想されたようです。
開発上の困難
アクリル製タンクを利用した醸造装置を作ってくれるメーカーを探したものの、なかなか引き受けてくれるメーカーがなかったとのことです。理由はアルコールでアクリルタンクを使った経験がないからというものだったようです。12、13件探し、とある広島のメーカーが引き受けてくれることになりました。また、動画では触れられていませんが、構想と実践は別物で、設計から試行錯誤等、様々なハードルがあったようです(西堀酒造HP)。
その結果、業界で唯一のタンクが完成しました。そのタンクで醸造した純米大吟醸は品質が良く、世界のワインコンテスト(酒部門)で大会推奨賞を授賞しました。
特許取得のメリット
特許が取得できたことにより、唯一性が認められたことを活かして、次のステージに進むことができたとお考えのようです。
動画では語られていませんが、関東経済産業局長賞や特許庁長官奨励賞を獲得したり、イベントやクラウドファンディングによる新たなファンの獲得に繋がる等ご活躍が見られます。これらには特許の取得が影響しているといえるでしょう。
弁理士に依頼して良かった点
西堀酒造は途中、特許権の取得をあきらめようとしましたが、弁理士が「まだいけます!」とお伝えし確信を持って進めた点が良かったようです。実際、この特許出願は特許庁の審査で拒絶理由通知を何度も受け(これ自体特許の世界ではよくあります)、その都度弁理士が対応することによって特許が認められています。
まとめ
西堀酒造は、思いもよらないことがキッカケで醸造容器「クリアタンク」を開発し特許出願しました。この特許の審査は一筋縄ではいかず、弁理士の尽力もあり特許取得に成功しました。ぜひ、この記事を参考に弁理士を活用してみてください。
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