| |
| 弁理士は、特許、実用新案、意匠、商標といった「知的財産」に関する専門家です。 例えば、会社設立時、新商品・サービス開発時や、オンラインショップ開設時では、会社名やサービス名についての商標や、商品についての特許、意匠等を取得する手続きを行います。 この記事では「弁理士」の役割について、弁護士、司法書士、行政書士、税理士といった他の士業と比較しながら、分かりやすく解説します。 |
はじめに:あなたのビジネスを守る「士業」の専門家たち
会社を立ち上げたり、新しいサービスを始めたりするとき、さまざまな専門家、いわゆる「士業」のサポートは不可欠です。しかし、各士業の役割は微妙に異なり、「一体、誰に相談すればいいの?」と迷ってしまうことも多いでしょう。
特に、「弁理士」と聞いて、具体的に何をする人なのかピンとこない方も多いかもしれません。この記事では、3つの身近なシチュエーションを例に、弁理士の役割を、他の士業(弁護士、司法書士、行政書士、税理士)と比較しながら、わかりやすく解説します。この記事を読み終える頃には、あなたのビジネスを守るための「専門家チーム」のメンバーが、どんな顔ぶれなのかが見えてくるはずです。(この記事では、専門的な内容を分かりやすくお伝えするため、あえて簡略化した表現を用いています。詳細については専門情報でご確認ください。)
それぞれの士業は何をする人?
弁理士、弁護士、司法書士、行政書士、税理士は、全員「法律家」ですが、それぞれ専門分野が異なります。弁理士は「発明」「デザイン」「ブランド」といった「知的財産」を守る専門家です。そして、弁護士は「法律問題全般」、司法書士は「登記」に関すること、行政書士は「許認可」に関すること、税理士は「税務」に関することを専門的に扱います。
| 弁理士 | 弁護士 | 司法書士 | 行政書士 | 税理士 | |
| 主な専門分野 | 発明(特許)・ブランド(商標)・デザイン(意匠)など知的財産権の取得 | 法律問題全般、紛争解決、訴訟代理 | 会社や不動産の登記手続き | 官公署への書類作成・手続き代行、許認可申請 | 税務全般、会計、確定申告 |
| 弁理士との違い | 知的財産に限らず「裁判所での紛争解決」を専門とする | 「会社そのもの」の登記を専門とする | 「事業の許認可」を専門とする | 「税金」に関することを専門とする |
知的財産に関する紛争では、弁護士と弁理士が協力して対応することが多いです。弁理士が特許の技術的な内容を専門的に分析し、弁護士が法的な訴訟戦略を立てることで、あなたの権利をより強固に守ることができます。
なお、各士業が取り扱う業務は上の記載に限られません。どの士業に相談すべきか迷った場合は、一人で悩むよりも、まずは専門分野が近いと思われる士業に問い合わせてみることをお勧めします。きっと適切な士業へと繋いでもらえるでしょう。
3つの身近なシチュエーション
(1)会社設立時に登場する士業
会社を立ち上げる際、法的な手続きや資金管理など、多くの専門的なサポートが必要になります。
司法書士:会社の登記手続きを行います。商号(会社名)や所在地、資本金などを法務局に登記し、会社を法的に成立させるのが主な役割です。会社の骨格を法的に形作る、いわば「設立のプロフェッショナル」です。
弁理士:会社の商号(会社名)やロゴといったブランドを保護する「商標」を特許庁に登録する手続きを行います。会社名を登記しただけでは商標権は発生しません。会社名の商標を登録したい場合は、弁理士に相談しましょう。
行政書士:事業に必要な許認可の申請手続きを行います。例えば、飲食店を開業する際の営業許可や、運送業を始める際の事業許可など、特定の事業を始めるために国や自治体から承認を得るための書類作成や申請を代行します。
弁護士:様々な法律上の課題に対応します。例えば、契約書の作成や、起こりうる紛争の予防・解決等を全般的に扱います。
税理士:税務や会計など、会社のお金の流れを管理します。税務署への届け出はもちろん、日々の経理処理、決算、そして税金の申告をサポートし、会社が健全な経営を続けるための基盤を築きます。
(2)新商品・サービス開発時に登場する士業
新しい技術やサービスを生み出すとき、そのアイデアやブランドを守ることが非常に重要になります。
弁理士:新しい発明を「特許」として、新商品のデザインを「意匠」として、その商品やサービス名を「商標」として特許庁に登録する手続きを行います。これにより、競合他社に模倣されるのを法的に防ぎ、あなたのビジネスを優位に進めることができます。
弁護士:他社から特許や商標を侵害しているとして訴えられた場合、または自社の権利が侵害された場合の訴訟代理人として対応します。
税理士:新商品の開発にかかった費用(研究開発費など)や、将来的な売上にかかる税務についてアドバイスします。
(3)個人がオンラインショップを開設する場合に登場する士業
近年増えている、個人でオンラインショップを開設してビジネスを始めるケースです。
弁理士:「ショップ名」や「商品名」といったあなたのブランドを守るため、ショップ名やロゴを他の誰かが先に使っていないか調査したり、「商標」を特許庁に登録する手続きを行います。小さく始めたビジネスでも、ブランドが成長したときにトラブルに巻き込まれないための重要な「保険」になります。
行政書士:食品や特定の化粧品などを扱う場合、必要な営業許可などの申請手続きを行います。オンライン販売であっても、事業内容によっては許認可が必要になることがあります。
税理士:ショップの売上や経費に関する税務相談や、確定申告のサポートを行います。「どこまでが経費になるの?」「税金はいくら払うの?」といった、個人事業主が抱えやすい疑問に対応します。
弁護士:他社から商標権の侵害で訴えられたり、利用規約に関するトラブルが起きたりした場合など、法的な紛争に発展したときの対応をします。
まとめ:弁理士はあなたの知的財産を守る専門家
この記事で見てきたように、あなたのビジネスを成功へと導くためには、それぞれの士業の専門分野を理解し、適切なタイミングで相談することが鍵となります。
- 弁護士は「法律問題全般」のプロ
- 司法書士は「登記」のプロ
- 行政書士は「許認可」のプロ
- 税理士は「税務」のプロ
- そして、弁理士は「発明」「デザイン」「ブランド」といった「知的財産」を守るプロです。
会社設立、新商品開発、そして個人でのビジネス。それぞれのステージで、あなたの生み出した知的財産を守るために、弁理士は欠かせない存在です。知的財産に関する悩みや疑問があれば、ぜひ弁理士にご相談ください。


コメントを書く